3Dのメリット

3Dのメリットはほんとうにたくさんあります。工業デザインに限って考えても、

 

1.3面図だと想像が難しい「あやしい」形状のあいまいさがまったくありません。

  逆を言えば3次元で表現したもの、そのものが実際の製品形状に反映できます。

 

2.デザイン修正を依頼されるほとんどのケースは、内部機構物が入らない、干渉する、

  設計変更があり寸法を大きくしたい(小さくしたい)などの要求です。

  2次元でデザイン提案していた時代は単純にX/Y/Z座標を形状変更すること

  で対応してきましたが、内部機構とのクリアランス(隙間)が小さなものは干渉が

  予想される箇所の断面図を山のように作成し検討しなければなりませんでした。

  3次元CADであればCADが自動計算してチェックできます。

 

3.パラメトリック(寸法の定義)に形状変更できるので、修正したい箇所がいつでも

  履歴データを変更することで可能になる。ただし、この機能は一部のサーフェス

  CADやCAM専用のCADには搭載されていないので、購入の際は必ず「パラメ

  トリック・フィーチャー」機能のあるCADにするようにしてください。

  この機能のおかげで3次元CADをデザインの清書道具ではなく、試行錯誤の為

  のクリエイティブツールにすることが可能です。微妙に寸法値を変えて再生する

  と自分の納得するところまで造形を追い込んでいくことができます。コンピューター

  の中で徹底的にバランスを検討することは楽しい作業です。

 

4.試作までの手離れがものすごく早い。試作業者と、あうんの呼吸でモデルが完成して

  いた方には関係ありませんが、3次元化によって試作業者からの質問がまったくなく

  なりました。ただし、自分のミスった箇所でも正確に再現されたモデルが出てきます

  ので、画面シェーディング・曲率表示でのチェックをかなりシビアに行う必要があります。

 

5.設計部門だけでなく、営業や販促の人々を巻き込んでのデザインレビューが容易に

  できる。一般的に、デザイン・設計部門の人間は3面図から3次元形状を想像する

  行為に慣れているため、平面図での最終デザインでもコンセンサスができるが、そ

  れ以外の部門の人間は、3次元形状を回転させながら見てもらわないと、デザイン

  に対する意見が出てこない、または出てきにくい。誰でもが判断できる状態でデザ

  イン承認ができることは重要です。もちろん理想はデザイン試作ですが、経済環境

  の悪い現在では試作点数を減らすこともデザイナーに要求される能力です。

 

6.うまくデータを作れば、筺体設計用に流用が可能です。筺体設計者は機構設計のプロ

  ですが、デザインのプロではありません。デザイナーの「もっと張りのある面にして

  ほしい」などの抽象的な形状表現では困ってしまいます。デザイナー自ら3次元形状

  を定義する必要が3次元設計では必須事項になっています。

 

などが考えられます。

6つの項目で説明しましたが、これ以外にもメリットがあることは計り知れません。