3Dのデメリット

3Dのデメリットは、ほんとないに等しいと思いますが、あえて言うなら次のような面です。

 

1.3次元CADで設計していないメーカーさんとの取引では効能が見えずらい。

  十年前には2次元設計だった取引先もあり、その時は相手側のメリットがなかなか

    つかめませんでしたし、当方にもメリットが見えませんでした。3次元CADの

    データを2次元図面に落とし、各パーツの断面図を書き起こし図面化していたの

    ですが、その時間を考えると2次元時代より多くの工数が必要となっていました。

    しかし、デザイン料が3次元化で増えるわけではないので導入時は赤字プロジェクト

    のオンパレードでした。(モデリングの手が遅かったせいもあります)ただ、客先

    に3次元化は必要ですよと説いて回ったおかげで3年後ぐらいには、客先すべてが

    3次元での設計に変わったため図面化以降の工数が激減し利益がでてくるようになり

    ました。

 

2.スケール感がつかみにくい。24インチのワイドモニターを使っていますが、今

  だに画面の中のスケール感がつかめません。小さなアイテムであれば、3次元造

  型機で出力させてほしいとお客さんにお願いすることがあります。想像するより

  出力したほうが相手も確認できて決定が早くなる場合もあります。造型機でのモ

  デル作成も以前は敷居が高かったですが、今はソコソコリーズナブルになって来

  ました。

 

3.CADソフトの習得にある程度時間がかかる。まったくの初心者ならば、良い

  コンサルを受けないと習得までは時間がかかると思います。最近のミッドレンジ

  CADのインターフェースは相当使い易くなって来ていますが、取っ掛かりの

  ところでつまづくと続けるのがいやになってしまいます。あと、簡単にモデリング

  できてしまうので後工程でつかえない面を作ってしまいがちです。このような単純

  な形状ほど、面の品質が出てきてしまいます。これはテーパのついた四角柱の4つ

  角にフィレットがついた形状ですが、CADのフィレットコマンドを使う時は必ず

  G2(曲率)連続にしておかないと、R尻に影の出るいやらしい形状になります。

  左がG2(曲率)連続のフィレット、右がG1(接線)連続のフィレットです。

  右のモデルのR尻にうっすら線のようなものが見えますが、これが面の曲率差による

  影です。

 

  Pro/E WFのポーキュパイン解析で見るとフィレットの持つ曲率の違いがハッキリ

  と見えます。右のフィレットはとなりの平面との曲率に段差がありますが、左の

  フィレットは魚の尾びれのように平面との差がないようにCADが自動で曲率連続

  な状態にしています。この曲率連続したフィレットを作成できるCADは実は多く

  はありません。それにフィレットコマンドを使えない場面のほうが実はモデリング

  では多く、その場合はスイープ、境界、ロフト、フィルなど別手段が必要です。

  実際の製品を注意してみると、最近の事務機器・プリンター・白物家電などでこの

  ようなG1フィレット処理のものを結構見かけます。

 

  このような微妙な面処理は2次元時代では金型加工職人の磨き技術に頼っていました。

  しかし、設計が3次元化された現在ではデザイナーもしくは、金型のキャビティー

  側の設計者が受け持つ範囲となります。

  しんどい作業とは言えますが、すべてデジタル処理されて職人の磨き技術を期待でき

  なくなった今では当たり前の作業となっています。

 

4.3次元CADソフトの値段が高い。デザイナーの数だけライセンスを購入しなければ

  ならないのは、効率が悪いです。デザイナーは筺体設計者よりもCADの使用時間が

  少ないです。手描きやイラストレーターでのスケッチを描く必要もあります。

  デザイナーとして理想の3次元CADのライセンス形態は絶対に時間貸しだと思います。

  それも月極めではなく1分単位の課金がベストです。当方は個人でやっているのでライ

  センスは各ソフト1本で済んでいますが、2・3本と増えた場合を想像するとゾッと

  します。3次元CADの販社も今より拡販したければ、1分単位課金を真剣に考える

  必要があると思います。それも、ライセンス契約初心者にはかなり安めの金額で覚えて

  もらう間は気軽な金額にすべきです。半年もたてば、当たり前にモデリングできるよう

  になりますので、その後は正規料金でかまわないと思います。